
SUVでありながら高い燃費性能を誇ると話題の「VEZEL e:HEV」。
しかし、カタログのWLTCモード燃費なんてものは、しょせん実験室の理想値に過ぎません。「実際のところ、日々の足として使ってどれくらい走るのか?」 これこそが、我々のような実用性とメカニズムを愛する人間が最も知りたい一次情報のはず。
そこで今回は、2025年5月末の納車から翌年2026年5月まで、丸1年間にわたって徹底的にトラッキングした給油記録とメーター上の燃費データを包み隠さず公開します!
なお、前提として本レポートのデータの大半は「半分は高速道路、半分は郊外の道路」という長距離走行メインでの記録となっています。
ハイブリッド車(e:HEV)にとって最大の試練となる「冬場の燃費低下」の実態と、春先にかけての「V字回復」のリアルな挙動を、データで丸裸にしていきましょう。
1. 2025年 年間集計:SUVらしからぬ驚異のトータルスコアと「満タン法」の真実
まずは2025年の年間トータルデータを振り返ります。(集計期間:2025年5月31日〜12月29日)
- 平均燃費:18.8 km/L
- 総給油量:666.60 L
- 合計金額:103,376 円
VEZELクラスの車重があるSUVで、年間通して「平均 18.8 km/L」という数値を叩き出しました。合計10万円強のガソリン代で、11,949kmを走り切ったことになりますね。
ちなみに、今回公開しているデータはすべて給油量と走行距離から算出する「満タン法」での厳密な実燃費です。
実は、車のメーター上に表示される平均燃費は少しばかり「盛られて」います。トラッキングを通して判明したのですが、実燃費とメーター表示燃費の差は、大きい時で約3km/Lほどメーターの方が高く出る傾向にありました。
この「表示のハッピー誤差」を加味しても、半分高速・半分郊外という長距離メインの条件で実燃費18.8km/Lを維持しているのは、非常に優秀と言わざるを得ない。
2. 絶好調の初夏:モーター駆動の真骨頂、20km/L超えの連発(2025年5月〜7月)

5月31日(総走行距離15.4km)から運用をスタートし、最も燃費が上振れしたのがこの時期です。
- 6月20日: 21.1 km/L
- 7月20日: 20.11 km/L
- 7月27日: 20.22 km/L
- 8月15日: 21.28 km/L
6月から8月にかけて、コンスタントに20km/Lの壁を越えてきます。気候が穏やかである春〜初夏は、ホンダが誇るe:HEVの「2モーターハイブリッドシステム」の独壇場。
ただし、この驚異的な数字の背景にはいくつかの要因が重なっています。
まず、「6月はエアコンをOFFにして走った事が多かった」という点が非常に大きい。コンプレッサーの負荷がない状態は、燃費に直結しますからね。
さらに、納車直後ということもあり「かなり丁寧にエコドライブを心がけて運転していた時期」であったことも付け加えておきます。後の検証でわかったことですが、VEZEL e:HEVは「ドライバーの走り方(アクセルワーク)」一つで、燃費が3〜4km/Lも平気で変わってしまうシビアな一面を持ち合わせています。エアコンOFFの恩恵に加え、モーター走行の旨味を最大限に引き出す丁寧な運転が、この最高記録を支えていたというわけです。
3. 冬の洗礼:ハイブリッドの弱点「暖房ロス」と雪道の重圧(2025年10月〜12月)

秋から冬にかけて走行距離が一気に1万キロを突破したあたりから、平均燃費が徐々に重苦しい動きを見せ始めます。
- 11月03日: 18.1 km/L
- 11月30日: 16.54 km/L
- 12月13日: 16.93 km/L
- 12月29日: 17.59 km/L
冬場に入ると、実燃費は16〜17km/L台へとガクッと落ち込みます。
なぜ冬にここまで燃費が落ちるのか?
大きな理由は3つ。
1つ目は、前述した通りハイブリッド車の弱点である「暖房用の熱」を作り出すためのエンジン強制始動(暖房ロス)。
2つ目は、スタッドレスタイヤへの交換による転がり抵抗の増加。
そして3つ目は、雪道特有の路面の悪さによる走行抵抗です。
夏場ならモーターだけで静かにスルスルと走れる長距離であっても、冬場は「車内を温めるためにガソリンを燃やし」「雪とスタッドレスの抵抗に抗いながら走る」ことになります。この三重苦とも言える影響で、夏場と比べて約15〜20%もの燃費低下が発生しているのがデータからもハッキリと読み取れるはずです。
4. 2026年 春の兆し:街乗りメインへの移行と「本気の燃費チャレンジ」

過酷な冬を乗り越え、2026年に入ってからのデータ(1月〜5月中旬)がこちら。
- 2026年集計(5月16日時点)平均燃費:17.1 km/L
- 総給油量:365.90 L
真冬の1月〜3月はやはり15〜17km/L台と苦戦を強いられていました。しかし、注目すべきは気温が上がり始めた4月以降のデータです。
- 4月25日: 19.10 km/L
- 5月04日: 19.38 km/L
- 5月16日: 18.60 km/L
見事なV字回復!実はこの春に入ってからは、これまでの「高速半分・郊外半分」の長距離走行メインから、「片道10km程度の街乗り」中心の走行へと切り替わっています。ストップ&ゴーが増える街乗りであっても、スタッドレスタイヤからノーマルタイヤへ戻し、暖房を使わなくなったことで、ふたたび20km/Lに迫るエコ性能を発揮し始めました。
さらに特筆すべきは、冬の真っ只中である2月下旬(画像参照)に突如記録した「22.27 km/L」という異常な数値。

実はこれ、「本気で燃費チャレンジをした時」の記録なんです。極寒の条件下であっても、乗り手が車の「ツボ」を押さえて徹底的なエコドライブ(モーター駆動の活用、適切なペダルワークなど)に集中すれば、ハイブリッドの限界を突破してこれほどのポテンシャルを引き出せる。これだからe:HEVは面白い。
まとめ:マニアの探求心を満たす、最強の相棒
納車からの丸1年間にわたる徹底的なトラッキングで、VEZEL e:HEVのリアルな顔が完全に見えました。
- 春〜秋: エアコンOFFと丁寧なアクセルワークでモーター駆動の恩恵をフルに受ける、20km/L超えの圧倒的エコ性能。春の街乗り(片道10km程度)でも19km/L台を安定して叩き出します。
- 冬場: 暖房負荷とスタッドレス・雪道の洗礼で15〜17km/L台に落ちますが、「本気の燃費チャレンジ」を敢行すれば極寒でも22km/L超えという奇跡を起こせます。
- トータル実力(満タン法): 高速と郊外の長距離走行をメインに、季節の激しい変動をすべて飲み込んでの年間平均「約18〜19km/L」。
走り方一つで燃費が3〜4km/Lも変わるシビアさなど、この車は乗り手に対して常に「対話」を求めてきます。
あらゆるシーンでランニングコストを抑えつつ、システムの挙動を観察する楽しさを提供してくれるVEZEL e:HEV。我々の探求心を満たしてくれる、非常に優秀な相棒と言えるでしょう。

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