【番外編】VEZEL e:HEVの隠された挙動を暴く!小ネタ&検証レポート

車とバイク

今回はスピンオフ企画として、1年間日々の足として乗り回す中で気づいた「システムの裏側のマニアックな挙動」や「VEZEL e:HEVならではの使いこなし術」、そして「ここが駄目!」という不満点まで、包み隠さず公開する番外編をお届けします。

ホンダのエンジニアたちがこの車にどんな意図を込めたのか。少しマニアックな視点で丸裸にしていきましょう。


1. 航続可能距離0kmのチキンレースと「ガス欠の恐怖」

長距離を走らせていると、メーターの「航続可能距離」が徐々に減っていき、ついには「0km」という恐怖の表示になります。しかし、過去に限界までチキンレースを試みた結果、驚くべき事実が判明しました。 航続可能距離が「0km」を表示してからでも、なんと「約30km」は余裕で自走できたのです。

ちなみにこの検証は無謀に実行したわけではなく、燃費チャレンジ時のメーター上の航続可能距離と、VEZELのタンク容量、そして実際に満タン給油した際に入ったガソリンの量から、タンク内に確実に残っている残量を逆算して推定した上で行っています。

これはシステムがドライバーをガス欠から守るための手堅い「緊急用マージン(予備燃料)」です。いざという時の精神的支柱として覚えておいて損はありません。

⚠️ ただし、絶対に真似はしないでください! e:HEVのようなハイブリッド車で本当にガス欠を起こすと、非常に深刻なダメージに繋がります。ガス欠でエンジンが止まると、システムは駆動用バッテリーの電力だけで無理に走ろうとし、最悪の場合「バッテリーの深放電」を引き起こします。こうなるとバッテリーの寿命が著しく縮むだけでなく、システムエラーで再始動できなくなり、ディーラーのレスキューが必要になるケースもあります。「まだ走れる」という過信は禁物です。


2. シートベルト連動パーキングブレーキの罠

みなさん、こんな経験はありませんか? 「Dレンジで停車中にシートベルトを外したら、勝手にパーキングブレーキ(EPB)が作動した」 「停車後、Pレンジに入れたのとほぼ同時にシートベルトを外したら、ウィーンとパーキングブレーキが作動して驚いた」

実はこれ、ホンダの徹底した安全設計によるものです。 VEZELには、ブレーキから足を離しても停止を保持する「オートブレーキホールド」がありますが、運転席のシートベルトを外すと安全のためにこれが強制解除されます。そして、Dレンジのままうっかり車外に出ようとした際の「クリープ現象による暴走事故」を防ぐため、システムが強制的にパーキングブレーキを作動させる仕組みになっています。

Pレンジに入れた瞬間に作動する現象は、Pに入るコンマ数秒前にシートベルト解除の信号が入力されてしまい、システムが一瞬「Dレンジでシートベルトが外された(危険)!」と判定してしまうタイミングの綾ですね。


3. 走行モードとパドルシフトの真の使い分け(SPORTモードは充電器だ)

ドライブモード(ECON / NORMAL / SPORT)の使い分けについて、私の結論は明確です。

  • 基本は「NORMALモード」が最強 世間では「ECON=燃費が良い」と思われがちですが、実際にはアクセルワーク次第で燃費はコントロールできます。私の感覚では、日常域においてECONのメリットはあまり感じません。私がECONを使うのは、出力がマイルドになる特性を活かした「冬場の雪道でのスリップ防止」や、エアコンの効きをマイルドに調整したい時くらいです。
  • 「SPORTモード」は走るためではなく、充電するために使う ここがマニアックなポイントです。SPORTモードに入れるとEVモード(モーターのみの走行)に入りにくくなり、エンジンが積極的に稼働します。また、アクセルレスポンスが鋭くなるため繊細なアクセルワークが重要になります。私はこれらを利用して、峠道の登りなど、強いモーターアシストが欲しい場面の手前で意図的にSPORTモードに入れ、満充電近くまで蓄電するという「戦略的SPORTモード」を活用しています。
  • 減速セレクター(パドルシフト)の挙動の違い NORMALモードではパドルで減速を強めても、アクセルを踏むとリセットされます。しかし、SPORTモード中はパドルで設定した減速段数が「固定」されます。エンジンブレーキ(回生ブレーキ)を効かせたままリズミカルに走りたい時は、この仕様の違いが非常に役立ちます。

4. バッテリー残量「3メモリ」の境界線と強制充電の裏ワザ

走行中、バッテリー残量メーターを観察していると、ある法則に気づきます。 バッテリーが「3メモリ」まで減ると、システムが自動的に「強制充電モード(エンジン始動)」に入るのです。これは、ハイブリッドバッテリーの劣化を防ぐため、空っぽでも満タンでもない「中間の美味しい領域」を常にキープしようとするシステムの賢い制御プログラミングの証です。

【裏ワザ:停車中の手動・強制充電】 実は、停車中に意図的にエンジンをかけて充電する方法があります。 シフトを「P(パーキング)」に入れた状態で、ブレーキペダルを踏みながら、アクセルペダルを10秒以上グッと踏み込んでみてください。するとエンジンが始動し、強制的に充電が始まります。 「夜中に静かな住宅街に帰るから、手前のコンビニでバッテリーを貯めておきたい」といったマニアックな用途で使える裏技です。


5. ACC中のモヤモヤを解消する「ブレーキ状態表示」

ブレーキ状態表示のメニュー画面

アダプティブクルーズコントロール(ACC)で前車に追従して走っている時、「自分の車のブレーキランプって、今ペカペカ光ってるんだろうか?」と気になったことはありませんか? たまに、前を走る車が小刻みにブレーキランプを点灯させていて、後ろを走っていて落ち着かないことがありますよね。「自分もあんな風に周りに迷惑をかけているのでは…」と不安になるものです。

ブレーキランプ消灯時の表示
ブレーキランプ点灯時の表示

そんなマニアックな悩みを解決してくれるのが、メーター内の「ブレーキ状態表示」機能です。 この画面を表示しておくと、自分の車のブレーキランプやライトが現在点灯しているかどうかを、リアルタイムのグラフィックで確認できます。

実際にこの画面を出してACCで走ってみると、多少の減速であれば「回生ブレーキ」だけで減速しているため、ブレーキランプは全く点灯していないことが分かります。以前乗っていたガソリン車のステップワゴン(RP型)では、ACCで追従中に頻繁にブレーキがかかる(ランプが点灯する)感じがありましたが、VEZELは回生ブレーキを上手く使ってスムーズに追従しているようです。 「あ、自分の車は後続車に迷惑をかけていないな」と視覚的に安心できる、非常にニッチですが実用性の高い機能です。ただ、一回使って安心できたらもう使わない気もしますが(笑)。


6. 便利だけど罠がある「降車時オートドアロック」

スマートキーを持ったまま車から離れると自動で鍵が閉まる「降車時オートドアロック」。非常に便利な機能ですが、初期設定ではOFFになっています。設定の方法は少し階層が深く、また落とし穴もあります。

時計/車両設定
ドライバー2
ドア設定
降車時オートドアロック

設定はステアリングの右側のダイアルから「時計/車両設定」>「ドア設定」>「降車時オートドアロック」へと進むことで有効化できます。なお、この設定はスマートキー(ドライバー1、ドライバー2)ごとに個別に保存されるため、キーを2つ使い分けている場合はそれぞれで設定を有効にする必要があります。

【落とし穴:同乗者がいる時】 自分がキーを持ったまま先に車を降りて少し離れてしまうと、同乗者がまだ車内にいるのに「ピピッ」とロックされてしまいます。同乗者がその後ドアを開けると、セキュリティアラームが発報して周囲の視線を一身に浴びるハメに…。同乗者がいる時は一時的に設定をオフにするか、キーを車内に残しておくなどの工夫が必要です。


7. 絶賛ばかりじゃない!VEZEL e:HEVの「ここが駄目」

ここまで絶賛してきましたが、もちろん不満点がないわけではありません。特に雪国ドライバーとしてどうしても我慢ならない「ここが駄目」なポイントをお伝えします。

タイヤハウス内の段差
雪が詰まりやすいタイヤハウスの構造

それはズバリ、タイヤハウス内の構造と、フロントドア下のウェザーストリップです。 写真を見ていただければ分かる通り、タイヤハウスの裏側に細かい段差や凹凸が非常に多い設計になっています。これが雪道走行において致命的な弱点になります。

雪道を走ると、巻き上げた雪がこの段差にガッチリと入り込んで凍りつき、巨大な氷の塊へと成長します。つるんとした平らな形状であれば足で軽く蹴ったりスノーブラシの柄で叩いたりすればドサッと簡単に落ちるのですが、VEZELのタイヤハウスはこの複雑な段差に雪が噛み込んでしまうせいで、こびりついた雪を落とすのにとんでもなく苦労します。 また、フロントドア下のウェザーストリップとボディの隙間にも氷がガッチリと挟まりやすく、ドアを開ける時にバキバキと嫌な音を立ててしまうのも大きな不満点です。

空力性能(エアロダイナミクス)や静粛性を高めるためのこだわりの形状なのだろう、というのは理解できるのですが、雪国のユーザーにとっては降雪時のたびにかなりストレスの溜まる仕様です。こればかりは「ホンダさん、雪の日のことももう少し考えてくれよ…」とぼやきたくなるポイントです。


まとめ

いかがでしたでしょうか。ただ乗るだけでも素晴らしい車ですが、裏側のシステムや安全設計の意図を理解すると、VEZEL e:HEVとの「対話」がさらに面白くなります。 皆さんもぜひ、安全に配慮しつつ、これらの小ネタを試してみてくださいね!

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